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第22回 ハセツネCUP 実行委員長挨拶

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第22回大会を迎えて

 第22回日本山岳耐久レース長谷川恒男CUPに全国からお集まりいただき誠にありがとうございます。
 山とトレイルランニングを愛する皆様を心から歓迎し、感謝の一言を申し上げます。
 
 今年も東日本大震災復興支援活動として、困難な状況の中で懸命に生産を続けている福島県会津の若き農業集団のご協力による、約3トンのお米を参加される皆様にお配りいたします。
 トレイルランニングというアウトドアアクティビティを通じて心をつなぐ仲間として、一刻も早い復興に少しでも役立てたいと思います。

 日本山岳耐久レース長谷川恒男CUPは今年で22回目の開催を迎えますが、近年トレイルランナーおよびレースの急激な増加に伴い、トレイルランナーと、登山者やハイカー、自然保護活動に携わる方々、観光客の方々との摩擦が表面化してきていることはまぎれも無い事実です。このことにより環境省はトレイルランニングという山で活動する新しいアウトドアアクティビティに対して、一定のガイドラインを設ける方向で検討を始めています。
 今のところ環境省の打ち出す方針は明らかになっていませんが、状況によってはトレイルランニングレースを実施できる場所、地域を限定するなどの規制が設けられることも考えられます。国立公園等をコースとして使用する、既存または新たな大会の中にはコースの変更が余儀なくされたり、開催自体が難しくなることがあり得るかもしれません。

 なぜこのような状況に至ったのかを考えますと、トレイルランニングがテレビやインターネットなどのメディアを通じて広く認識されるとともに、2007年から始まった東京マラソン以降、ランニング人口が飛躍的に増加し、ランナーの興味がマラソンからトレイルランニングやウルトラマラソンに広がるなど、トレイルランニングを取り巻く環境が大きく変化し、トレイルランナーおよびトレイルランニングレースが急激に増加したからだと考えられます。

 トレイルランナーとトレイルランニングレースが増加した結果、いままで山やトレイルを静かに楽しんできた登山者やハイカーとトレイルランナーの遭遇機会が増え、さらにロードランナーが山のルールや常識を知らないまま山やトレイルに活動の場所を広げてきたことが摩擦を招いている原因の一部と考えられます。

 私たちすべてのトレイルランナーは「レース・大会」という「サービス」を「対価(エントリーフィー)」を支払って「消費」するだけはではなく、「トレイルランニング」という新しいアウトドアアクティビティの現在の置かれている状況を「一部の人たちが楽しんでいるマニアックなスポーツ、しかもレースにおいては多くの参加者により自然環境に負荷をかけ、登山者やハイカーに対して敬意を払うこと無くトレイルを走り抜ける新参者」から、広く一般に認知され共存するスポーツに成長させる重要な役割を担っている立場にある、ということを充分認識すべきだと思います。
 今現在トレイルランニングを楽しんでいる私たちには、後に続く人たちのために、山においての常識やマナーを充分認識し、ハイカーや登山者、観光客の方々に敬意を払い、他の模範となる行動を身を以て示す「責務」があると言えるのではないでしょうか。
 
 日本山岳耐久レース長谷川恒男CUPでは2008年より公益財団法人日本体育協会公認の山岳指導員資格を持つ講師が中心となって指導する「安全走行講習会」を4月から9月まで全6回開催し、全課程を修了した約40名が「選手マーシャル」としてコース上の審判および事故等の発生時の連絡係の任を担いながら大会に出走しています。
 私共はこの「安全走行講習会」を、山でのルールやマナーはもちろん、読図、救命講習やセルフレスキューなどの課程を実践し、定められたレースコースを走るだけのランナーではなく「自立した山岳スポーツの実践者」としての知識と経験を身につけたトレイルランナーを育成する講習として位置づけています。

 さて、今年の大会も多くの海外エリートアスリート、トラックやマラソンで実績のある選手などの参戦が目立ちます。一昨年の覇者ダコタジョーンズ選手、昨年の覇者東徹選手を筆頭に年々記録が飛躍的に上昇してきています。

 一方、タイムを競うよりも完走を目標に参加する選手も数多くいます。日本山岳耐久レース長谷川恒男CUPは地道に10回の完走を達成した選手の皆様に「アドベンチャーグリーン」の称号と、特製オリジナルメダルを授与しています。15回完走の皆様はエントリー権が付与されます。さらに20回の完走を達成した選手の皆様には「スーパーアドベンチャーグリーン」の称号を授与し、その偉業を讃えます。すでに数名の方が獲得されております。すべての選手の皆様のご健闘を心よりお祈りいたします。
 最後にこの大会にご協力戴いた、あきる野市をはじめとする関係各位、運営に携わる全てのスタッフ、ボランティアの方々に心から御礼申し上げます。

以上

(財)日本山岳スポーツ協会

第22回ハセツネCUP実行委員会

実行委員長 撫養 千明


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